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​教育って?

私は、

「正しい教育」というものが

普遍的に存在するとは思っていません。

 

教育が目指すものは、

その国や社会、

そして、時代によって異なるものだと思うのです。

 

たとえば――

経済発展を最優先とする国では、

「良い教育」とは、

ルールを守り、

集団にうまく適応し、

与えられた役割をきちんと果たせる人間を

育てることだとされるでしょう。

 

でも、私は、

そうした価値観とは異なる道を歩んでみました。

 

そして、あるヒントに出会いました。

それは……

私が50年、暮らしているフランスでの体験です。

ここフランスでは、

まったく違う教育観が、深く根付いています。

 

この国での生活を通して、私は、

子どもたちが幼いころから

「どうしてそうしたの?」

「それ、どう思ったの?」

と問いかけられ、

 

自分の言葉で

考えや理由を説明する力を

自然と育まれている様子を、何度も見てきました。

 

たとえ子どもが失敗しても、

頭ごなしに叱るのではなく、

その行動の裏にある理由を、まず聞こうとするのです。

 

そして、一緒に考える。

そんな姿勢が、家庭でも学校でも

ごく自然に見られます。

 

特にフランスでは、

「自分の意見を持ち、それを表現すること」が

とても強く求められます。

 

意見を持たないということは、

ときに「自分で考えていない人」と見なされることさえあります。

 

大切なのは、

「はい」か「いいえ」かの答えではありません。

自分なりの視点を持っているかどうか。

 

それが、その人の成熟度をはかる

大事な基準であるのだと思います。

 

フランスでは、夏休みが約2ヶ月と長く、年間を通して何度もバカンスがあり、宿題も少なめです。

子どもたちは、その時間の余裕のなかで、家族との関わりや、自分の「好き」を試す体験を重ねています。

 

自分の「好きなこと」を見つけるには、実は時間がかかります。

だからこそ、体験するための時間の余裕が、教育の土台として大切にされているのだと感じます。

 

一方で、

私が日本で子ども時代に受けた教育は、

 

「黙って従うこと」

「言い訳せずに謝ること」

 

そんなことを教えるものでした。

 

自分の考えを口にしようとすると、

「言い訳するな」と言われ、

気持ちや意見を表現するのが難しくなっていったのです。

 

知らず知らずのうちに私は、

他人の期待に応えるために、

自分の感情を抑え込むようになっていました。

言えば叱られる。

 

自分の心の表現をしないようにしていました。

 

そんな教育のあり方に、

私は少しずつ疑問を抱くようになりました。

 

大人の

「こうしなさい」こうすべき、と言われるたびに、

その言葉が、

他の道の可能性を知らないまま、挑戦したことのない人の言葉であると、見えてきました。

彼らの人生が魅力的でないとも感じるようになりました。

 

そのときから、私は、

自分の好きな道を選ぶことにしました。

 

「人生をひとつの実験、実験工房」として生きていこう――

そう決めたのです。

 

自分がしたくないことは、しない。

たったそれだけのことなのですが、

まず、とても難しかった。

 

お金も手に入らない。

地位も名誉も、誉められもしません。

 

でも、

そういった “浮き輪” がなくても、

浮袋にしがみつこうとせずにも、生きられるのではないかと、挑戦です。

 

私は、人生を自由に泳ごうと決めたのです。

 

そして今――

 

私はこれまでの人生の足跡を、

これから自分の道を歩き始める子どもたちに

伝えたいと思っています。

 

心から願っているのは、

 

それぞれが「本当に好きなこと」を見つけて、

魂が震えるような人生を、歩んでほしいということ。

 

これは、

「こう生きなければならない」という押しつけではありません。

 

ただ、

自分に正直に生きることを選んだ

一人の人間の証として、

そっと手渡したいのです。

 

実際のところ、

国が、経済的な発展を目指すのであれば、

創造性の解放を目的にする教育はますます重要になっていきます。

 

新たな時代を切り拓く「イノベーション」は、

既存の枠組みにとらわれず、

好奇心と情熱に導かれて、自由に考える力から生まれるのだと思います。

 

人は、好きなことは上手になる。

 

その“好き”という気持ち、

その情熱こそが、

 

人を育て、社会を変える力になる。

 

私は、

私の人生体験を通して、

お伝えしていきたいと思います。

 

ありがとうございました。

子どもの教育について

 

人間の幸せとは何でしょうか?

 

好きなことを、好きな人と、好きな環境の中で生きること——それが幸せの原点ではないでしょうか?

心の声に耳を傾けること。

 

時間や成功に常に追われ、息苦しく生きることに、一体どんな意味があるのでしょう?

 

今の子どもたちは、学校に行かないという形で、静かな反乱を起こしているように私には感じられます。

 

彼らが学校へ行かないのは、それがつまらないからです。

いじめられたり、嫌なことが起きる場所には、お腹が痛くなって行けないのです。

 

それは、実はごく当たり前のことではないでしょうか?

 

では、なぜ学校はつまらないのでしょう?

 

学校は本来、学びの場であるはずです。

でも、学ぶのは何のため?

 

さまざまな教科を通じて、自分が何に興味があるのか、何が本当に好きなのかを発見できる場所であるなら、学校は価値あるものです。

 

しかし、今の学校は、ただ言われたことを正しくこなすための訓練の場になってしまっていないでしょうか?

 

それはまるで軍隊のようなやり方です。

人間をロボットにするためなのでしょうか?

 

私たちはむしろ、一人ひとりの子どもが好きなこと、持っている個性を認め、それを育てて導くことこそが教育だと考えるべきではないでしょうか?

それこそが、本当の教育ではありませんか?

 

こうして考えてみると、現在の教育制度の欠陥が見えてきませんか?

 

教師たちにそのような教育ができるとは、私には思えません。

まず、時間がない。

そしてそのような対応を学んできていない。

そう感じます。

 

だからこそ、教師が子どもたちと過ごせる時間を増やすことが必要です。

つまり、それ以外の業務を大幅に減らすこと。

そして、子どもの声を聞き、その中から見えてくる方向性を見極められるような研修を受ける必要があるでしょう。

 

そこには、魂と魂のつながり、心と心の対話が求められるはずです。

 

私は、この根本的な意識の変革こそが最も重要だと考えています。

24/07/25

男女の育児参加と制度比較:日本 vs フランス

フランス

  • 父親の育児休暇(paternity leave)制度
    2021年7月から、父親に対して**出生後28日間の有給休暇(出産休暇含む)**が義務化されました。そのうち7日は雇用主の義務、残り21日は社会保障から支給 N26+1The Scottish Sun+1The Guardian

  • 取得率
    「7割近くの父親が育休を取得する」との報道がありますが、実態としては70%未満で、完全取得は依然少数との指摘もあります Le Monde.frN26

 日本

  • 父親の育児休暇制度(Parental leave)
    最大12か月取得可能と、制度の長さではOECD平均以上ですが、制度を利用する父親自体の割合は低いままです OECDBibliothèque Numérique du FMI

  • 取得率の推移

    • 2019年:約7%

    • 2022年:約17% へ増加(ただしOECD平均より低水準)

    • 2023年:企業勤めの父親で**30%**が取得するようになりました qz.com+11en.wikipedia.org+11playroll.com+11

  • 取得期間の傾向
    多くは取得期間が短く、男性の半数以上が2週間未満の休暇で済ませているという調査結果です OECDBibliothèque Numérique du FMI

 

比較表:育休制度と育児参加の実態

項目🇫🇷 フランス🇯🇵 日本

育児休暇制度の有無法制化済み、28日間(出生休暇含む)最大12か月取得可能

父親の育休取得率約 70 %未満(7割に迫るが完全取得は少数)2019年7% → 2022年17% → 2023年30%

取得期間の長さ十分に取得する傾向あり多くが2週間以内、短期間の取得にとどまる

文化的な背景共働き当たり前、育児参加が社会的に期待される長時間労働文化、育休取得にネガティブな職場風土

 なぜこの比較が意味を持つのか

  • フランスでは、制度だけでなく、共働き・育児分担を社会全体が支持し、若者もそれを当然と受け止めています。この文化が、男女ともに自然体で家事や出産・育児に向き合える環境を作り出しています。

  • 日本は制度はあるものの、文化・職場環境が追いついておらず、父親が育休を取得しにくい構造が続いています。その結果、女性のキャリア中断や出生率低下につながっています。

     

                                                                                                         27/7/25

共働き世帯と出生率の比較 — 日本 vs フランス

出生率(合計特殊出生率:TFR/一人の女性が生涯に産む平均出生数)15歳から49歳までの女性1人が、一生の間に産むと想定される子どもの平均数

  • 🇯🇵 日本:
    2022年の出生数は約770,759人、合計特殊出生率は 約1.26(OECD平均1.51を下回る) Reddit+2OECD+2OECD+2
    2023年にはさらに低下し、約 1.20 という過去最低を記録 AP News+2www3.nhk.or.jp+2Wikipédia+2

  •  

  • 🇫🇷 フランス:
    2022年の出生数は約725,997人、合計特殊出生率は 約1.79(OECD平均より高く、加盟国中3番目に高い水準) OECD
    2023年には 1.66 まで低下したと報告あり Statista+1Wikipédia+1

 共働き率と出生率の関連

 比較表

項目🇯🇵 日本🇫🇷 フランス

TFR(合計特殊出生率)約 1.26(2022年)→ 1.20(2023年)約 1.79(2022年)→ 1.66(2023年)

共働き母親(12歳未満)データ明記なし(低めと推察)区別なく働きにくい約 53.7% がフルタイム働く家庭の母親

男女役割分担の傾向女性の家事負担大、共働きへの社会制度も限定的男性も家事育児に関与する割合が高く、制度支援も充実

 

考察のポイント

  • 出生率の差:フランスは日本に比べて出生率が比較的高く、持続可能な人口構造に近づいています。

  • 共働きと出生の関係:フランスでは共働きを支える子育て環境と文化が、女性が働きながらも出産を継続できる土台となっており、それが出生率の高さと関連しています。

  • 日本の課題:労働・育児・家事の両立の難しさ、男性の育児参加の低さと制度の不十分さが、出生率低下の構造的な背景になっています。

🇫🇷 フランスと 🇯🇵 日本の教育環境 比較表(2024年時点)

 

​以下に、フランスと日本の教育に関する基本的なデータをご紹介します。

1. 年間学校休暇日数

  • フランス: 約120〜125日(夏休み 約8週間+他のバカンス)

  • 日本: 約70〜80日(夏休み 約5〜6週間+春・冬休み)

  • 出典:

  • OECD「Education at a Glance 2023」

  • フランス教育省(Ministère de l'Éducation nationale)公式カレンダー

  • 日本:文部科学省 学校教育法施行規則・各地教育委員会

2. 宿題の平均時間(1週間あたり)

  • フランス: 約3.5時間

  • 日本: 約6.5〜7時間

  • 出典:OECD PISA 2018「Students' engagement with homework」(図IV.3.1)

 

3. 学習塾通塾率(中学生)

  • フランス: 約10〜15%(主に試験対策、必要な場合のみ)

  • 日本: 約70%以上(特に中学3年生)

出典:

  • 日本:文部科学省「子供の学習費調査(2021年)」

  • フランス:INSEE(フランス国立統計経済研究所)報告、Le Monde教育特集(2022)

 

4. 放課後の過ごし方(自由時間・習い事)

  • フランス:

    • 親の就労後に対応した「学童+地域クラブ活動」が発達

    • 芸術・スポーツ系の自由な活動に参加することが多い

  • 日本:

    • 学習塾やお稽古事が中心

    • 自由時間よりもスケジュールが詰まっている傾向

    •  

    • ​出典:

    • 日本:ベネッセ教育総合研究所「子どもの放課後の過ごし方調査(2020)」

    • フランス:Ministère de l'Éducation nationale、CAF支援制度概要資料(2022)

 

5. 親の労働と育児支援制度の違い

  • フランス:

    • 法的に「週35時間労働」

    • 育児支援制度(CAF等)や学童保育の充実

    • 公共サービスでの「全日学校+休暇対策」が整っている

  • 日本:

    • 実質週40時間以上の就労が一般的

    • 育児支援制度は存在するが、地域・企業間格差が大きい

    • 学童の定員不足や、家庭依存が強く残る

  • 出典:

  • OECD「Average annual hours actually worked per worker(2023)」

  • 厚生労働省「仕事と育児の両立支援制度」

  • フランスCAF公式サイト、Ministère du Travail

6. 教育の目的の捉え方(文化的価値観)

  • フランス:

    • 子ども自身の「考える力」「表現力」を育てることが重視される

    • 意見を持たないことが「考えていない」と見なされる文化

  • 日本:

    • 協調性・規律・努力を重視

    • 自分の意見を出すよりも、「空気を読む」ことが求められる場面が多い

    • 出典:

    • フランス:Éducation civique 教材、教育研究機関 CNESCO(Conseil national d’évaluation du système scolaire)報告

    • 日本:文部科学省 学習指導要領、教育社会学研究多数

 

 

このように、制度・文化・習慣・価値観のすべてにおいて大きな違いがあります。

子どもが苦しんでいる現実 ― 日本とフランスの統計比較から

 

はじめに

近年、子どもたちの「苦しみ」のサインが様々な形で社会に現れています。日本では不登校や自殺の増加が深刻な課題であり、フランスでもいじめや学校適応の問題はありますが、制度や文化的背景が異なります。本稿では、エビデンスに基づき、日仏の違いを可視化し、子どもたちが何に苦しんでいるのかを考察する一助とします。

 

統計比較表(2023年度)

指標日本フランス備考

いじめ件数681,948件(小〜高、文科省 2023)約120,000件(中等教育での報告、教育省 2022)日本は自己申告+報告、フランスは原則中学校以降

不登校児童・生徒数約299,048人(小中、2023)約100,000人(義務教育段階、2022)フランスは「déscolarisation」または「absentéisme」含むが定義が曖昧

子どもの自殺者数小中高生:514人(2022年度、文科省)年間150人程度(15歳以上:INED, 2020)フランスは15歳未満の統計が公表されておらず空白

学校内心理療法士の配置ごく限られる(スクールカウンセラー等)常設はされていないが、心理士が地域単位で巡回対応体制の差が顕著

 

空白の意味:フランスに統計がない理由

15歳未満の子どもの自殺に関して、フランスでは公的に詳細な統計が発表されていません。これは件数が少なく、集計の必要性がない、つまり「公衆衛生上の深刻な懸念として優先度が低い」と見なされている可能性があります。この“統計の空白”こそ、日仏の現実の違いを象徴するものだといえます。

考察:子どもたちは何に苦しんでいるのか

  • 日本では、忍耐・同調を重視する文化が学校生活に色濃く反映され、「違和感」や「苦痛」を表現しにくい空気をつくっています。

  • 子どもの「心の声」を抑え込む社会が、結果的に自殺や不登校という形で苦しみを可視化させてしまっているといえるでしょう。

  • フランスでは心理的支援の体制や「個としての尊重」が制度的にも文化的にも比較的認められており、「表現する権利」が子どもにも保障されています。

 

出典一覧(2023–2024年)

  • 文部科学省:「児童生徒の問題行動・不登校調査(令和5年度)」

  • 厚生労働省:「令和4年人口動態統計(自殺による死亡数)」

  • フランス国立教育省:「Enquête sur le climat scolaire et la victimation」

  • INED(フランス国立人口学研究所):「Suicide des jeunes en France」

  • ONPE(Observatoire national de la protection de l’enfance)

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